こんにちは。ゆきちです。
30代の循環器内科医です。税理士を目指しながら公務員として勤務する妻(錦:きんちゃん)と10年後のFIREを目指し日々資産運用、節約に勤しんでいます。
今日のテーマです。
あなたも医師に?医師国家試験にチャレンジ
101回 A(各論)48問 改題
25歳の女性。動悸と手の震えとを主訴に来院した。2か月前から疲れやすくなり、動悸を感じるようになった。食欲は旺盛であるが体重は変化していない。汗が多く、イライラするようにもなった。10日前から安静時の手の震えを感じる。意識は清明。身長158cm、体重50kg。体温37.2℃。脈拍112/分、整。血圧156/42mmHg。眼裂は大きく、上眼瞼縁と角膜との間に強膜が認められる。う歯と歯槽膿漏とを認める。びまん性甲状腺腫を認める。血清生化学所見:総コレステロール100mg/dL、AST 30U/L、ALT 22U/L、ALP 380U/L(基準260以下)、γ-GTP 42U/L(基準8~50)、TSH 0.01μU/mL以下(基準0.2~4.0)、FT3 12pg/mL(基準2.5~4.5)、FT4 7.6ng/dL(基準0.8~2.2)、TRAb 陽性。
もっとも疑われる疾患はどれか1つ選べ
- a Basedow病
- b 橋本病
- c Plummer病
- d 無痛性甲状腺炎
- e 薬剤性甲状腺機能亢進症
突然驚かせてすみませんでした。今から14年前の医師国家試験で出題された問題です。こんな感じで5つの選択肢から1つないし2つの答えを選択する出題形式です。以前は「全て選べ」という恐ろしい出題もあったようですが現在は答えの数は指定されています。
すこし内容を変更しています。本題はこちら。(厚生省、101回医師国家試験より)https://www.mhlw.go.jp/topics/2007/04/dl/tp0427-6a.pdf
解説はこちらの方が丁寧です。(medu4.comより)https://medu4.com/101A48
問題解説
マーカーを引いたといころはヒントになるキーワードです。血液検査はヒントになることが多く、今回はなかなか採取されない検査数値が混ざっています。とある疾患を疑って採取したものになります。
- TSH=甲状腺刺激ホルモン(「下垂体」という脳のパーツからでてこのホルモンが出ているほどホルモンが分泌される)
- T3=甲状腺ホルモンその①(甲状腺からとれます)
- T4=甲状腺ホルモンその②(甲状腺からとれます)
甲状腺ホルモンの異常は「たかすぎ」と「ひくすぎ」があります。今回は「たかすぎ」の病気のようです。TSHという甲状腺を「出させる」ホルモンが低いのに甲状腺ホルモンが「かってに」出ているようです。
甲状腺ホルモンが異常に出ている状態を「甲状腺機能亢進症/甲状腺中毒症」と呼びます。
「甲状腺機能亢進症/甲状腺中毒症」の状態になりやすい病気で、一番頻度が高いのがバセドウ病(Basdow disease)です。
バセドウ病は自己免疫疾患(体で作った「異常な抗体」によって自分の体が攻撃される疾患の総称)の一つで女性の方がかかりやすいです。自己抗体が甲状腺に作用することで必要としている以上にたくさんの甲状腺ホルモンが体に溢れかえります。
ホルモンが体に溢れかえると
- 脈が早くなり、体重はへり、何もしていない時に手が震え、汗がとまらない
- 甲状腺(のどぼとけの少し下にあります)がデカくなる
- 目がデカくなった感じがする
といった感じになります。上記の症状と・ホルモン異常、自己抗体(TRAbとよばれます)の陽性を持ってバセドウ病と診断されます

問題の答えは「a Basedow病」でした。
もう1問やってみましょう。ここからが今日の本題です。
症例提示
30代の男性、内科医をしており10年でFIREを目指している。最近ブログを始めた。
動悸・発汗・体重の減少を主訴に来院した。2か月前から疲れやすくなり、動悸を感じるようになった。食欲は旺盛であるが体重は減少している。10日前から動悸が強くなった。意識は清明。身長180cm、体重は80kg→74kgに減少している。体温37.2℃。脈拍112/分、整。血圧140/75mmHg。甲状腺超音波図検査では甲状腺の軽度腫大と甲状腺実質の血流増加を認めた。
血清生化学所見:総コレステロール107mg/dL、AST 18U/L、ALT 34U/L、ALP 56U/L(基準260以下)、γ-GTP 18U/L(基準8~50)、TSH 0.01μU/mL以下(基準0.2~4.0)、FT3 22.41pg/mL(基準2.5~4.5)、FT4 6.18ng/dL(基準0.8~2.2)、TRAb 陽性。
もっとも疑われる疾患はどれか1つ選べ
- a Basedow病
- b 橋本病
- c Plummer病
- d 無痛性甲状腺炎
- e 薬剤性甲状腺機能亢進症
答えはaです。みなさんわかりましたか?
今回の症例はモデルがいます、右のプロフィールをご覧ください笑
自分でも驚きましたが男性には珍しい、バセドウ病に罹患しました。治療方針は①薬を飲む②小線源療法(放射線治療)③手術などがあります。
ゆきちは①を選択し毎日薬を飲んでいます。
①−③で管理で症状の改善が認められる場合がほとんどでゆきちは疾患に対して過度な心配をしていません。月に1度ほどの頻度で専門の医師の診察を受けており安心しながら生活しています。
しかし、バセドウ病は至適な内服を続けていても症状が悪化する場合があります。悪化する時は大体ストレスがかかっていること関わっています。
ストレスとしては
- 睡眠不足
- 休みたい時に休めない
- 空腹
などが挙げられます。
医師は人の生死に関わる仕事としてメディアで取り挙げられることが多く、「昼夜問わず働き」、「ご飯は外来と検査の間の数分ですます」ことが多いです。上下関係が色濃く残り、「苦労は買ってでもする」もので、若手は月に10日以上夜間に呼ばれることも珍しくありません。
一生バセドウ病と付き合っていく必要がある、ゆきちは果たして10年先も勤務医として働いていけるのでしょうか。
10年後,錦ちゃんと一緒にFIREできるように、これからも目の前の患者さんの診療を続けていきます。
記事を見てくれているあなたも、一緒にFIREを目指して投資していきましょう。
今日は以上になります。お疲れちゃんでした。
Twitterやコメント欄からコメント頂けると元気でます。ぜひよろしくお願いします。